仙台高等裁判所 昭和29年(う)390号 判決
公職選挙法第二百五十二条第一項所掲の罪を犯して処罰を受けた者が同条項所定の期間選挙権及び被選挙権を喪うところのいわゆる公民権の停止は、その処罰を受けた者に対する重大な制裁で、その実質が刑罰にも匹敵すべきものであることは所論のとおりである、しかしながら右公民権の停止は、現行法上は、刑の言渡に伴う附随的効果と解すべきものであつて刑そのものではなく、又法はこれにつき刑の言渡があつたことを条件として、当然に発生するという立前をとり裁判によるその旨の宣告を要するものとはしていないのであるから、この公民権停止を裁判において宣告するの必要はない。公民権の停止が基本人権に関する重大な処分であるということによつて、右の結論が左右されるものではない、又論旨がこの点に関し刑事訴訟法第四十四条第三十三条を援用している趣旨は不明であるが右両条の規定が右の結論に影響があるものとは解されない、従つて原審が被告人に対する公民権停止をその主文において宣告しなかつたことは当然で論旨は理由がない。
(裁判長裁判官 鈴木禎次郎 裁判官 蓮見重治 裁判官 細野幸雄)